Loving-fighters


 僕らは創るものだ。
 僕らは繋ぐものだ。
 僕らは変化させるものだ。
 僕らは変化するものだ。

 僕らは。

「いつも君は苛々しているな」
 その男は余裕たっぷりといった様子で笑うと、オレの髪を解いて乱した。
 オレは顔を背けながら、
「アンタがそういうときに誘うからだろ」
「おや、私のせいにするのかね?」
「少なくともオレは悪くない」
 大体、大の男に体重を預けられているこの時点で、たとえ警察にこの場を踏み込まれてもオレの分の悪さは精々三割程度だ。
 どうしたって、同性を組み敷いているこの男の方が悪い。絶対に悪い。
 オレがこいつの誘いに乗ったという事実があったとしても、オレの中では悪者決定。
 なぜかって。
 こいつがオレを誘ったからだ。
「床の中くらいもう少し可愛い顔をしたらどうだね」
 そいつは平気な顔をして、解いた髪を手で弄る。
 こいつはいつもこんなふうに女を抱くんだろうな。
 女の代わりにされるのは癪だったが、それよりも先に、可愛い顔、という言葉に反応して口が尖る。
「真っ平御免だ」
 その返事に、彼はまた笑う。
 そういう綽々としたところが嫌いだ。
「……鋼の」 
 甘い声でオレの名前を呼ぶな。
 あんなに重々しい名前も、柔らかくない鋼の二肢も、その声で呼ばれると、総て吹っ飛んでしまいそうなんだ。
 年齢など気にしない、という顔をして。
 鋼の腕と足など、関係無いという顔をして。
「せめて少しくらい、私に笑ってはくれないか」
 苦笑の端に、ほんの少し寂しさを浮かべてみたりして。
 詐欺師だ。
 泥棒だ。
 そうやって、オレがアンタに夢中になると思ってるんだろう?
 綺麗な言葉だけ並べて、甘い声で囁いて、それでオレの心をどうにかできると思ってるんだろう?
 ああ、苛々する。
 耳なんて噛むんじゃねえよ。
「……ッ」

 アンタの思い通りになってく自分に苛々する。

「感じたか?」
 だから最後の抵抗だ。
 アンタはいつも余裕の顔だから。
「寝言は寝て言え」
 決してアンタに弱味なんて見せるもんか。
 甘い顔なんてするもんか。
「寝かせてくれるのか?」
 そうだ、いつだって闘い。
 それで善い。
「……誰が」
 寝かせてやるもんか、と笑う。


「来いよ」


 僕らは、闘う生き物だ。

(終)

2004/05/04


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